【書評】不健全な心は健全な肉体に宿すべき
人の闇が、すぐそこに存在することを遠ざけてはいけないとぼくは思っています。
米澤さんの本は『満願』に続いて2冊目。この作家さんに対しての予備知識ほとんどなしです。でも『満願』『儚い羊たちの祝宴』と読み、米澤さんのスタイルってこんな感じなのかと捉えることができました。
バベルの会という謎のサークルを軸においた、このミステリー小説は、読んだ人にどこか暗い影を落とします。というのも、理不尽なまでの人の闇があちこちに潜んでいて、こちらを覗いているからです。
そもそも人の闇って、日常生活ではなかなか見られません。けれども、その種っていつでもどこでも生まれているんじゃないかなと思うんです。例えば、アパートの住居人のゴミ出しが汚いとか、その程度のレベルで。
そんなレベルだけれども、いやだからこそ、人間の闇は順調に育つのではないでしょうか。
不健全な心は健全な肉体に宿すべきだと思っています。
人間生きているのですから、不健全な心が宿るのは当たり前です(そんな当たり前のことを潔癖的に否定する人は信用ならないなと日頃から思っているのですけれど)。だから、人間は体を鍛える必要があるのかなと思っています。
本の話とはすっかり違うところに落っこちてきてしまいました。
最高に面白い1冊でした。