ペースト状です

たぶん、そういうことです。

【書評】『満願』米澤穂信:願いと欲望は紙一重?

NHKのドラマスペシャルで米澤穂信の『満願』が3夜連続で放映されました。予告を見たときから、その映像の持つ乾いた雰囲気に魅了され、久しぶりに「これは見よう」と思っていました。本当に良かった。

 

http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/20000/299278.html

 

「万灯」「夜警」「満願」どれもあっという間の1時間。中でも「夜警」の安田顕さんの演技は別格でしたよ。翌日の民放で放映された「映画 銀魂の」演技を見てしまったため、ギャップがとんでもないことになっていましたよ。どこかで再放送されたら是非みてもらいたい。

 

ちなみに、原作は未読です。ドラマの衝撃から原作に手を伸ばしました。

 

米澤穂信さんの『満願』は6話の物語から成り立っています。超どんよりミステリーのオムニバスです。

どの話ももれなく泥土を両手ですくうようなどろりとした感覚が残ります。こういうの、本当に好きなんですよね。後味悪いの。

 

欲望の種類

人間には多かれ少なかれ欲望があります。

軽いものは「出かけたい」から生理的な欲求「何か食べたい」、「寂しい」人は常に何かを埋め合わせようとします。この『満願』は欲望を塊です。

そしてそれは、その人自身の人格に直結する欲望。その人しか持ち得ない欲望です。物語の中で、本質と結びついた欲望が埋め合わされていく様を見ることができます。それはけっして綺麗ではないけれども、目を背けることはできません。

人間って綺麗なものじゃない。それが当たり前なことだと、改めて実感します。

読後感は本当に決して良くないです。それでこの本は、人を引き込んでいきます。

 

満願 (新潮文庫)

満願 (新潮文庫)