【書評】『精読 アレント『全体主義の起源』』:暴力的なシステムを支えるものは
アレントの本は読みづらいです。それを『人間の条件』で痛感しました。
過去の反省を生かして、『全体主義の起源』は解説本から読むことに。
アレントの言葉を選りすぐりながら引用し、背景をくっきりとさせて解説をしてくれています。内容にも一貫性が感じられ、著者がアレントの思いを曲げることなく、伝えようとする姿勢が伝わってきます。
が、やはり内容は難しいです。原書の話題が多岐に渡っていること。そして、島国に住む日本人ゆえに、感覚的にが理解しづらいところがあります。それでも全体主義の起源に触れることは価値のあることかと思います。
暴力的なシステムの根底
全体主義はつかみどころのない暴力的なシステムです。しかし、その全体主義を傘としている数えきれない個人のリアリティが下敷きになっています。私と隣人の、私とあなたの、私と違う国の人との関係が根っこにあります。
何も考えずに他人を憎み、嫌悪していると、いつかは自分自身が全体主義という大きなマシンの歯車になってしまう。そんな気がします。全体主義の危うさは身近な関係の中に潜んでいるように思えて仕方がありません。
社会に蔓延するわかりやすいスローガンの下に何が隠されているのか、疑いの目を向けてみることが必要なのでしょう。
読んでみたい人や、読んでみて内容がつかみづらい人は以下記事から参考にしてもらえるとありがたいです。