『お金2.0』は人間と社会を書いた本であって、お金儲けの本ではない。
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: Kindle版
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結構時間をかけて読みました。丁寧に読んだというよりは、期間的な話です。Kindleに入れて2ヶ月くらいかかったような気がする…その間に色々と青空文庫に手を出してしまいましたからね。
『お金2.0』名前から一見するとお金を増やすための本なのかな、そのための所作の話なのかな、と思っていました。全く違いました。お金を扱う人間と社会について書かれています。
人がお金という存在に魅了される所以はヒトのもつ報酬系によるから〜とか、資本主義から「価値主義」への変移が行われてきている〜とか。それはそれで興味深いです。ベーシックインカムはじまったらこうなるのか。とか、これからは貨幣じゃなくて信用を集めなければな。と思ったりもします。面白いです。
ただ気をつけなければいけないのは、本書で描かれている世界があまりにドラスティックに動きすぎる世界であるという事です。著者はそういうスピード感のある世界を生きているのでしょう。実際に「価値」に重きが置かれる社会になった時には、社会は全く形を変えていることになります。他者に優しく、多くの信頼を集めることが万人にとって大切になるのですから。社会や世界という大きな枠で見た時には世界平和に繋がるとても尊いことです。僕自身もそんな社会を夢見ています。
しかしその一方で、自らの信用のために「みんなに優しく」が異常に発達してしまう社会を想像すると、少し恐ろしさを感じます。周りの目に必要以上に気を使い、他人へ良い評価を与えることで自分も良い評価をもらう。周りかの信用が下がってしまったら、自分の「人間的な価値」すら下がっていくと錯覚してしまう。Netflixのブラックミラーにもこんな話があったような。
まぁ、そんな心配はしましたけれども、色々な経済の形が生まれてくることでたくさんの形の幸福が増えるのはいいことですよね。