ペースト状です

たぶん、そういうことです。

当時23歳の圧倒的な文章力を見せつける平野啓一郎の『日蝕・一月物語』

 平野啓一郎は『マチネの終わりに』と『決壊』は読んでいます。僕には『決壊』はどハマりでした。表面はサスペンスですが、物語自体は徹底的に主人公の内面に迫るもので、心の描き出し方があまりにも見事な作品です。『マチネの終わりに』においても、葛藤する心すらもロジカルに言葉で描ききっていることに脱帽させられるのですが、その見事な表現から、胸が痛くなって(個人的に)読めなくなってしまう一冊でした。

 

そんな平野啓一郎のデビュー作らしいこの一冊を読みました。

日蝕・一月物語 (新潮文庫)

日蝕・一月物語 (新潮文庫)

 

 『日蝕』というお話と『一月物語』というお話が2つ入っているから『日蝕・一月物語』です。この二つは別個のストーリーです。どちらも共通なことは摩訶不思議であると言うことでしょうか。

日蝕』はフランスの話。魔女狩りが行われる中で、主人公のニコラが神秘的な体験をする。『一月物語』の舞台は日本。主人公が山の中で倒れ、夢か現実かわからないような時間をさまよう、そんなお話たち。どちらも読み切ろう!と思えるくらい面白いのですが、どっちが好みかと言うと、『一月物語』。

 

ただただ、平野啓一郎の文章力がやばい。これが23歳だったのか。23歳の自分はこんな文章をぜっっっっっっったいにかけない。才能と努力ってすごいなと思います(この作品には努力も感じられます)。